内科・呼吸器科・アレルギー科・内科・消化器科 久保田医院
呼吸器内科・アレルギー科

当院では気道から肺の病気に対して専門的な検査や治療を行います。
主な対象の病気は、花粉症や咳喘息、気管支喘息と言ったアレルギーの病気から慢性咳嗽、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、非結核性抗酸菌症、気管支拡張症、慢性呼吸不全(在宅酸素療法)、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器の病気です。

次のような症状の方はお早めにご相談ください。

●咳や痰が続く ●眼が痒い、鼻水がでる ●血痰がでる ●安静時や運動時に息切れがする ●風邪の症状が取れない ●ゼーゼーして息苦しい ●胸が痛い ●夜間睡眠中に呼吸が止まる、目が覚めたときに頭痛がある ●健康診断の胸部レントゲン写真で影があると言われた

禁煙外来も行っておりますのでご相談ください。


気管支喘息

病気について

気管支喘息は、気道の慢性の炎症がありまた気管支が過敏な状態にあり、特定の抗原(アレルゲン:例ダニ、ハウスダストなど)や非特定な刺激(例:PM2.5、黄砂、刺激臭、冷気など)を吸入することにより気管支が狭くなり、喘鳴や呼吸困難、咳を起こす病気です。症状は良くなったり、悪くなったりと変動があるのが特徴です。特に日内変動と言われる朝や夜に症状が悪化し、日中は症状が軽くなるといった変動や運動や花粉、風邪といったことで誘発されるのが特徴的です。

診断

問診で喘息に典型的な症状があるか、アレルギーの体質や家族にアレルギーがあるかなどが参考になります。呼吸機能検査にて吸入薬を吸う前と吸った後で肺活量が改善するか、そして他の病気を除外することで診断を行います。

治療

吸入薬(吸入ステロイドや気管支拡張薬)と内服薬による治療を行います。特に難治性喘息では分子標的治療薬(皮下注射)を用いて治療を行っています。症状がないときや呼吸機能検査で正常なときも、気道が敏感になっており、慢性的に炎症が持続しています。そのため、長期管理が大切です。

必要な検査

●呼気NO測定
●呼吸機能検査(必要に応じて吸入薬を用いて検査する)
●胸部エックス線撮影、必要に応じて胸部CTスキャン撮影
●血液検査


COPD(肺気腫、慢性気管支炎など含まれます)

病気について

タバコのなど有害物質を長期に吸うことによって起こる肺の病気で、呼吸機能検査にて気流の閉塞(息の吐きづらさ)がみられます。

症状

初期には無症状か咳、痰がみられるのみですが、徐々に進行し労作時(動いた時)の呼吸困難が出るようになり、呼吸不全となり安静にしているときも呼吸困難を感じる様になります。
日本で推定される患者数は500万人を超えますが、実際に治療を受けているのは数十万人です。

診断

診断は、呼吸機能検査で気道が狭くなっているかみて(1秒率が70%未満)、他の病気を除外することで診断します。
咳喘息では吸入薬治療、アトピー咳嗽、喉頭アレルギーでは抗アレルギー薬の内服、胃食道逆流症では胃薬の内服、感染後咳嗽では鎮咳薬(咳止め)で治療を行います。

治療

吸入薬(長時間作用型の気管支拡張薬)による薬物療法と禁煙、感染予防、呼吸リハビリテーション、酸素療法など非薬物療法を併用して行います。

必要な検査

●呼吸機能検査
●胸部エックス線撮影、必要に応じて胸部CTスキャン撮影
●血液検査


慢性呼吸不全

病気について

血液の中には酸素と二酸化炭素が溶けていて、特に動脈の中の酸素濃度が低い状態を呼吸不全と呼びます。さらに二酸化炭素が多い場合をⅡ型呼吸不全と呼んでいます。呼吸不全の原因となる病気は非常に沢山あります。呼吸不全は大きく急性と慢性に分けられます。
呼吸不全がみられる方に対して、酸素を補充してあげる方法を酸素療法と呼び、慢性の呼吸不全で自宅にて酸素療法を行うことを在宅酸素療法と呼んでいます。

診断

動脈から採取し、動脈血液ガス分析を行い動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr(トール)より低い場合、呼吸不全とされます。簡易的に測定できる検査として指で測定するパルスオキシメーターで酸素飽和度(SpO2と記載されます)を測ります。PaO2 60 TorrはSpO2 90 %に相当します。よって指で測定するSpO2が90%未満の場合は呼吸不全が強く疑われます。
また、安静にしているときは酸素の消費が少ないためSpO2が保たれるが、動いたとき(労作時)にSpO2が急激に下がる方もいるため労作時のSpO2の評価も行います。

治療

呼吸不全の原因となる治療を十分に行い、それでも呼吸不全が続く場合は酸素療法の適応となります。酸素流量はPaO2が60 Torr以上(SpO2が90 %以上)になるように投与します。重要なのは、慢性呼吸不全の方は、酸素流量が多すぎると二酸化炭素が体に貯まってしまう状態(高炭酸ガス血症)となり、CO2ナルコーシスという病気になってしまう可能性があります。
CO2ナルコーシスとは、動脈血の炭酸ガス分圧が高くなり、強い眠気がみられ(傾眠傾向)、重篤な場合は呼吸が弱くなり、場合によっては呼吸が止まってしまう状態です。
他の治療は、人工呼吸管理があります。人工呼吸管理は、口から管を入れて呼吸を管理する方法(挿管人工呼吸管理)からマスクなど密着して酸素を送り込む非侵襲的人工呼吸管理があります。在宅で人工呼吸管理を行う場合は、主に非侵襲的人工呼吸管理となります。炭酸ガスが貯まってしまう慢性Ⅱ型呼吸不全の方が良い適応です。

必要な検査

●酸素飽和度測定(SpO2)
●動脈血液ガス分析
●採血、胸部エックス線写真、心電図、呼吸機能検査などを行い呼吸不全の原因となる病気を調べます。


睡眠時無呼吸症候群

病気について

睡眠時の無呼吸には、空気の通り道が塞がる閉塞性と脳からの呼吸する指示がなくなる中枢性があります。大多数が閉塞性の無呼吸です。ここ20年で患者数は増加の一途をたどっています。特に、高血圧症、糖尿病、心不全、脳卒中など生活習慣病を持っている方、うつ病などの患者さんに多くみられます。

症状

日中の眠気、熟睡感がない、疲れなどが自覚症状でみられますが、よく受診される理由は、回りの人から「寝てるとき、息止まってる」とか「いびきがすごい」など指摘されて受診されます。日中の眠気が強いことや集中力が低下することで回りからやる気がないと思われがちです。また脳卒中や心筋梗塞などの原因となりえる病気です。

診断

診断は、睡眠時無呼吸症候群に合う症状と睡眠中に無呼吸がどれだけみられるか(無呼吸・低呼吸指数:よくAHIと略されます)によって診断します。睡眠中の無呼吸検査にて1時間あたり5回以上の無呼吸または低呼吸がみられることにより診断されます。症状がない場合は、睡眠中の無呼吸検査にて睡眠1時間あたり15回以上の無呼吸または低呼吸がみられることにより診断されます。
なお、無呼吸と低呼吸の定義は下記となっています。
○無呼吸
 10秒以上の呼吸器気流の停止(つまり空気の流れが全くない)
○低呼吸
 酸素飽和度の低下や覚醒を伴う気流の低下(つまり空気の流れが低下して血液の酸素が下がったり、眼が覚めたりすること)

治療

睡眠時無呼吸症候群の重症度は、無呼吸低呼吸指数で分類されています。
○軽症:5≦無呼吸低呼吸指数<15
○中等症:15≦無呼吸低呼吸指数<30
○重症:30≦無呼吸低呼吸指数
治療の第一は生活習慣の改善が挙がります。肥満症をお持ちの方は、生活習慣・食習慣を改善し減量することにより睡眠時無呼吸症候群が改善することもあります。また、寝ている間マウスピースを装着する方法や手術により喉を広げることもあります。睡眠時無呼吸指数が20を超えてくる場合は持続陽圧呼吸療法(CPAP:シーパップと良く呼ばれます)を行います。

必要な検査

●問診(Epworthの眠気テスト)(下記に記しますのでチェックしてみてください)
●携帯型装置による在宅睡眠検査(自宅で検査ができます)
●ポリソムノグラフィー(入院で行う精密検査です)
●血圧測定や血液検査にて生活習慣病をチェックします。

Epworthの眠気テスト

もし、以下の状況になったとしたら、どのくらいウトウトする(数秒〜数分眠ってしまう)と思いますか。
最近の日常生活を思い浮かべてお答えください。

0:ウトウトする可能性はほとんどない
1:ウトウトする可能性は少しある
2:ウトウトする可能性は半々くらい
3:ウトウトする可能性が高い

状況 点数
座って何かを読んでいるとき(新聞、雑誌、本、書類など) 0 1 2 3
座ってテレビを見ているとき 0 1 2 3
会議、映画館、劇場などで静かに座っているとき 0 1 2 3
乗客として1時間続けて自動車に乗っているとき 0 1 2 3
午後に横になって、休息をとっているとき 0 1 2 3
座って人と話をしているとき 0 1 2 3
昼食をとった後(飲酒なし)、静かに座っているとき 0 1 2 3
座って手紙や書類を書いているとき 0 1 2 3

*(正常:合計10点以下)

アレルギー性鼻炎

病気について

花粉症は、いろいろなアレルゲン(アレルギーの原因)があります。
春はスギ、ヒノキ、ハンノキ、夏はイネ科、秋はキク科の花粉による花粉症がみられます。多くはスギ花粉による花粉症がみられます。アレルギーには即時型と呼ばれる数分から数十分で起こるアレルギー反応(I型アレルギー)とわりとゆっくりと数時間から数十時間で起こる遅発型と呼ばれるアレルギー(III型アレルギー、IV型アレルギー)があり、花粉症はI型アレルギーの病気に分類されます。
花粉症の症状としては、くしゃみ、水鼻、鼻づまりがみられ、同様に眼のかゆみや充血、涙が出ることも多いです。

診断

花粉が飛ぶシーズンにくしゃみ、鼻水、鼻づまりの3つの症状や眼の症状がみられることが診断に大事です。診察を行い診断しますが、鼻水の中に好酸球がみられるか(鼻汁好酸球検査)、特定の原因物質(アレルゲン)の血液の反応をみる(特異的IgE抗体検査)などで診断をしていきます。

必要な検査

●血液検査(特異的IgE抗体検査)
●鼻汁好酸球検査(必要性に応じて行います)

治療

限界はありますが、マスクやめがねの着用など、できるだけアレルギーの原因を回避し除去することが基本です。抗ヒスタミン薬の内服や点鼻、点眼薬を投与します。またステロイドの点鼻薬を併用することも多いです。最近は【アレルゲン免疫療法】を行うこともあります。

   

アレルゲン免疫療法

スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法のひとつに、アレルゲン免疫療法があります。
アレルゲン免疫療法は、100年以上も前から行われている治療法です。主には、アレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が行われていますが、近年では治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになりました。
「舌下免疫療法」は、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんが治療を受けることができます。

服用期間の例

1日1回、少量の治療薬から服用をはじめ、その後決められた一定量を3~5年間にわたり継続して服用します。初めての服用は、医療機関で医師の監督のもと行い(30分程度の経過観察)、2日目からは自宅で服用します。


使用方法の例

治療の流れ

以下はスギ花粉症(シダキュア)の場合です。ダニアレルギーの場合も、流れは同じです。

1)通常の診察
通常の診察を受けていただき、治療が可能かどうかの確認をおこないます。あわせて、次回の診療日(アレルゲンの初回投与をおこなう日)を決めます。

2)アレルゲンの初回投与
当院にてアレルゲンの初回投与をおこないます。投与の後は、約30分間、当院で経過を見ます。この日は、詳細な説明、舌下免疫療法を受ける同意書の記入手続きもあり、受付から会計終了まで1時間30分ほどを予定しています。

3)はじめの14日間(増量期)
薬は、1日1回、舌の下に1~2分間保持した後、飲み込みます。その後5分間はうがい、飲食をひかえてください。なお、こうした基本的な投与のやり方は、その後もずっと変わりません。
□はじめの14日間(増量期)は、投与するアレルゲンの量を少しずつ増やしていき、体に慣れさせます。
□1~7日目は、アレルゲンの量が少ない薬を投与します。毎日、定められた用量を舌下に投与し、少しずつ増やしていきます。
□8~14日目も1週目と同じように、定められた用量を舌下に投与し、少しずつ体を慣れさせていきます。

4)15日目以降(維持期)
□3週目からは、毎日同量の薬を投与し続けます。1日1回分を舌下に投与し、これを3~5年間継続します。

診察と費用について

シダキュア(スギ花粉症)を服用した場合

3割負担の方 0割負担の方
血液検査費用 2,500円~4,800円 0円
治療開始1週間 660円 0円
次の2週間 1,200円 0円
次の4週間以降 1,830円 0円

ミティキュア(ダニアレルギー)を服用した場合

3割負担の方 0割負担の方
血液検査費用 2,500円~4,800円 0円
治療開始1週間 680円 0円
次の2週間 1,450円 0円
次の4週間以降 2,330円 0円

舌下免疫療法は現在、スギ花粉症とダニのアレルギー症状を根本から治すことができる唯一の治療法とされています。しかし、すべての患者さんに効果が期待できるわけではありません。お薬の販売前の治験では、2割の方が完治し、6割の方に症状の改善が見られ、2割の方は効果がありませんでした。

期待できる効果

●長期にわたり、正しく治療が行われると、アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。
●症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量が期待できます。

主な副作用

●口の中の浮腫、腫れ、かゆみ、不快感、異常感
●唇の腫れ
●喉(のど)の刺激感、不快感
●耳のかゆみなど

重大な副作用

●ショック
●アナフィラキシー
※アナフィラキシー:医薬品などに対する急性の過敏反応により、医薬品投与後多くの場合30分以内で、蕁麻疹などの皮膚症状や、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然のショック症状(蒼白、意識の混濁など)がみられる。